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吉野家常務の発言を女性目線で考えてみた

吉野家の常務の発言が大炎上しました。発言の内容からかなり年配の方なのかと思っていましたが、私と同年代ということだったのでとても驚いています。しかし、振り返ると私たちの年代でも育った時代は女性蔑視と言わざるを得ない教育がされていました。

 

私が子供の頃は専業主婦の母親が多かったように思います。働いていた方も子供がある程度大きくなってからのパートタイムが多く、父親と同じようにずっと正社員として働く母親は少なかったと記憶しています。働き方改革もされていない時代ですから、休みもなく夜遅くまで残業をしている父親。同じく母親たちも現在よりも家事や育児も不便なことが多くて全てにおいて現在より時間がかかっていたはずですが、父親敬う風潮があったのは昔ながらの習慣と教育、それから母親たちの夫に対する思いやりだったのかもしれません。どちらにせよ、家事と外での仕事ではどちらが大変かということを比較するのはとても難しいはずですが、サザエさん一家のように父親を一番に敬うというのはどこの家庭でも当たり前でした。また父親だけではなく、私の友人の家では夕食時、長女と次女(友人)がお皿を下げて洗い物の手伝いをし、長男はその手伝いは免除されていました。

社会人になった1990年代も、仕事以外の差別は日常茶飯事でした。20代の頃に面接で結婚の予定を聞かれたこともありますし、社内のお茶当番のみならず飲み会でお酌をして食事を取り分けるのは若い女性の仕事でした。(私が20代後半のときに新入社員の男性が自分もお茶当番に入りますと申し出てくれたときはとても驚きました)当時は当たり前だったので差別とは捉えていませんでしたが、よく知らない女性社員にお酌をしてもらって逆に気を使わないのだろうかと疑問でした。最近はお酌をしてもらうような場面もありますが、私ははっきり言って苦手です。瓶ビールが飲みたくてもお酌されるのが嫌で生ビールを頼んでしまいますし、話の内容よりも相手の飲み物に気を取られるのはとても不毛なことに感じてしまいます。

女性に求められる仕事の中には無意味なことも多くありましたが、社内の力仕事は今でも男性の仕事ですし、仕事中の移動の運転は男性に偏りがちです。男性が女性に年齢や結婚の有無を質問することはNGですが、女性から男性への質問ならば寛容な風潮もあります。年寄りと若者、男と女が同じ価値観で有るわけがありませんし、得意なことも異なります。お互いの立場を理解しようとする努力があれば、理解できないことでも傷つけあうことは少なくなるのではないでしょうか。深く学ばなくとも心遣いで回避できることは多いと思います。

 

今回の吉野家の常務の発言は、ジェンダー平等やコンプライアンスを深く学ばなくとも回避できたような低レベルな発言だったと私は思っています。ジェンダー平等やコンプライアンス、ハラスメント等を学ぶことは大切ですし、私の立場では必須です。ましてや大企業の常務という立場ならば、人並み以上に意識を高く持ちしっかり学んでおくべきです。あまりにも独り善がりで無防備な発言だったと思います。若者からしたら「話のつまらないおじさん」の典型なのではないでしょうか。

自分とは違う世代や性別の常識を受け入れ、相手の気持ちを考える。これだけでもかなりの平等性を保てる気がします。自分より若い世代の常識というのは常にアップデートしていかないとついていけません。若い世代の常識がこれからの常識だというくらいの謙虚な気持ちで聞かないとまったく理解できないことも多くあります。会社の代表としても人間としても柔軟に(でも必死に)アップデートしていきたいと思います。